母のお客様
おはようございます。株式会社トキワの左治木です。今日のいい話。
50歳代のK氏は、祖父の代から続く理髪店の三代目店主として働いています。スタッフはK氏と父親の二人だけの小規模な理髪店です。母親も理髪師でしたが、股関節を痛めてからは、忙しい時だけ店内の清掃を手伝うくらいで、店には出ていませんでした。K氏は自分が店主になってから、お客様が増えてきたことに、自信を持ち始めていました。 ところがある日、K氏が担当している常連のお客様から、「お母さんはもうお店に出ないのですか?」と訊かれたのです。古くからひいきにしてくれているお客さまなので、母親が自宅で療養中であることは、重々にわかっているはずでした。 「私が小学生の頃、あなたのお母さんの笑顔が好きで、お母さんに当たると、うれしかったものです。お母さんが引退されるときは、ぜひ最後の客にしてください」と言われ、K氏は、自分ではなく母が目当てでもあることを知ったのです。仕上げの微調整で母親を呼ぶと、二人は、懐かしそうに会話を始めました。<店の伝統は、自分だけで作れるものではない>と悟ったK氏でした。
今、株式会社トキワがあるのは、諸先輩方の努力があったからだと思います。今の自分があるのも社員のみんなに支えられているからです。常に感謝の気持ちを持って接していきたいと思います。